FXでは、利確以上に損切りのルール・タイミングが大事です。
FXで損切りできないと、トータルでは絶対に勝てません。短期的には勝てても、長期的には強制ロスカットに遭って退場することになるでしょう。
結論から言うと、以下のような考え方は完全に間違いです。
「損切りするから負ける」
「損切りするな」
「損切りしない手法を探したい」
損切りできない方や損切り貧乏の方にとって、上記のように考えたくなる気持ちもわかります。
しかしFXでは、損切りできるかできないか、正しい損切りルール・タイミングを持っているかどうかで、最終的な勝敗は大きく変わってくるのです。
当記事では、損切りの重要性・ルール・タイミング・注意点を徹底解説します。
どうしても損切りできない方へ向けたおすすめのやり方もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
FXで損切りが必要な理由
まず、FXではなぜ損切りルールが必要なのか、その理由から見ていきましょう。
FXの損切りとは?
FXの損切りとは、エントリーして相場が逆行した際に、諦めて損失を確定(決済)すること。
簡単に言えば、損切りとは負けを認める行為です。
FXは、1回で終わるものではなく、何百回と繰り返しトレードする中で、トータルで勝つことを目的としています。
次のトレードで勝つためには、時には含み損を決済して損切りすることも必要です。
その意味では、損切りとは勝つための経費・投資だと考えてもよいでしょう。
FXの損切りは人間心理に逆行する
しかし、FXの損切りは人間心理に逆行するものです。
人間心理は、「稼ぎたい」「損したくない」と考えるようにできています。
- 含み益の時:目の前の利益を確保しておきたい(利確は早い)
- 含み損の時:損失を確定させたくない(損切りできない)
損切りしない手法として有名な「ナンピン」は、典型的な例と言えるでしょう。
いつまでも負けを認めず、「いずれ利益に転じるだろう」と考えて、ひたすら逆行に耐える手法ですね。
結果、資金が底を突いてロスカット…という苦い経験をされた方も多いのではないでしょうか。
逆に言えば、ナンピンせずに損切りして損失を最小限に食い止めれば、FXでは勝てるということです。
FXの勝ち組と負け組の差は、損切りにあります。
損切りできないといずれ必ず負ける
FXで損切りが必須な理由は、損切りできないといずれ必ず負けるからです。
損切りしない手法を使ったとすると、10回中9回は勝てるでしょう。しかし、残りの1回は大敗します。待っているのは、FX相場からの退場だけです。
- 「いつか戻るだろう」
- 「いずれプラスになるだろう」
FXにおいて、上記のような考え方ほど危険なものはありません。
トレンドがいつ転換するか・どこまで継続するかは、誰にも分からないのです。
損切りせずにナンピンを仕掛けると、必ず決定的な1敗を喫することになるでしょう。
FXで損切りしない手法は存在しない
ただ、ネットやSNSなどでは、以下のような言葉も見かけます。
- 「損切りするから負ける」
- 「損切りするな」
- 「損切りしない手法」
この点について詳しく見ていきましょう。
「損切りするから負ける」と考えてはいけない
FXでは、「損切りするから負ける」という考え方は間違えています。
むしろ真逆で、損切りしないからトータルで負けるのです。
FXは、トータルで利益を狙う投資。全トレードで勝つのは不可能だと考えましょう。
「損切りするから負ける」という考え方は、目先の1回の取引しか見ていない証拠です。
損切りすれば、目先のトレードで1敗はしても損失を最小限にできるため、トータルで勝てる可能性は高まるでしょう。
FXでは、個々の取引結果は気にせず、いかにトータルで勝てるかを意識することが重要です。
この考え方があれば、「損切りするから負ける」という発想にはならないでしょう。
「損切りするな」も間違っている
同じく「損切りするな」も間違っています。
FXでは損切りして、目先のトレードで負けてもいいのです。
「損切りするな」という考え方は、目先の1勝だけを見れば合っているかもしれません。
大半のFX相場は、上がったり下がったりなので、短期的には勝てるでしょう。
しかし、いつか必ず、上がったきり落ちない、下がったきり上がらない相場がやってきます。損切りは、その時の保険のようなものです。
「損切りするな」という考え方を鵜呑みにしないようにしてください。
損切りしない手法はあり得ない
結論、FXでは損切りしない手法は存在しません。
「損切りしない手法」とあっても、一時的な勝ちしか得られないことを覚えておきましょう。
繰り返しますが、FXはトータルで勝つことを目指す投資です。
損切りしない手法でたまたま勝っても、それはギャンブルにしか過ぎません。
FXでは、損切りしない手法を探すのではなく、いかに損切りルールを作るか、どのタイミングで損切りするかを最優先で考えましょう。
損切りできない方におすすめのやり方
ここまで損切りの重要性をお話しましたが、それでも損切りできない方へ、おすすめのやり方をご紹介します。
それは、取引ロット数を下げること。
損切りできない方は、損切りできない要因を解決することが1番です。FXで損切りできない方は、以下のような心理になっています。
- 大きなロット数でエントリーする(勝てば大勝ち)
- 相場が逆行して焦る(チャートに釘付け)
- 多ロット勝負しているので負けられない(負けたくない心理)
- 損切りできない&ナンピンして耐えようとする(まだ勝とうとする)
- さらに逆行して結局ロスカットされる
なぜ④のような心理になって損切りできないのか。それは、「負けられない」「このトレードで絶対に勝たないといけない」という状況だから。
では、なぜその状況になっているのか。
それは、メンタルが動揺するほど大きなロット数で取引しているからです。
例えば、以下の2つで比較してみましょう。
- 負けるとマイナス100万円
- 負けるとマイナス10円
①は100万円がかかっています。絶対に負けられない状況なので、ナンピンしてでもなんとか勝とうとします。
ナンピンしている時のメンタルは、すでに破壊されていることでしょう。冷静な損切り判断ができない状態になっています。
しかし②なら、負けても10円なので、チャートも見ずに放置してても平気ですよね。損切りルールがあれば、潔く簡単に損切りできるでしょう。
FXで損切りできない方は、ぜひ取引ロット数を小さくするやり方を試してみてください。
驚くほど簡単に損切りできるようになりますよ。
FXの損切りルール・タイミング7選
では具体的に、FXの損切りルール・タイミングを見ていきましょう。
FXで損切りできない方におすすめな、損切りルール・タイミングを7つご紹介します。
- 損失額10%までを目安にする
- pips数で損切り幅を決める
- 直近高値・安値を突破したタイミング
- インジゲーターを目安にする
- レジサポライン+10pipsを目安にする
- キリ番+10pipsを目安にする
- 経済指標発表前・週末前のタイミング
1つ1つ見ていきましょう。
損失額10%までを目安にする
1つ目の損切りルール・タイミングは、損失額を目安にして許容額を超えた時です。
一般的には、1回のFX取引での許容損失額は、総資金の2〜5%まで。これ以上失うと厳しいとされています。
とは言え、初期資金が少ない段階では、多少リスクをとりながら勝負する必要もあるでしょう。
それでも最大10%まで。ここが限界ラインです。
例えば、資金10万円のときで見てみましょう。
- 理想的な損切りルール:資金10万円×2%=2,000円
- 強気の損切りルール:資金10万円×10%=1万円
1回のFXトレードにおいて、できれば2,000円以内、どんなに強気でも1万円以内の損失に抑えるということです。
海外FX(1ロット=10万通貨)だったら、ロット数・pips数は下表のような感じに。
ロット数 | 1pips | 10pips | 100pips |
0.01ロット | -10円 | -100円 | -1,000円 |
0.1ロット | -100円 | -1,000円 | -10,000円 |
1ロット | -1,000円 | -10,000円 | -100,000円 |
もし0.1ロットで取引するなら、100pips(-1万円)が損切り目安の限界ライン。1ロットなら、最大でも10pipsで損切りする必要があります。
こうやって考えると、いかにロット数を抑えることが大事か、ご実感頂けたのではないでしょうか。
ロット数が多いと損切り幅が小さくなり、損切り貧乏(損切りだけ繰り返して負ける)になるのです。
FXでは、ロット数を抑えて損切り幅に余裕を持たせたほうが、メンタル的にも楽にトレードできるでしょう。
pips数で損切り幅を決める
2つ目の損切りルール・タイミングは、pips数で損切り幅を決める方法です。
pips数だけで損切り幅を出すのは割り切った方法ですが、無裁量で損切り設定できる点がメリット。損切りできないで困っているFXトレーダーの方に向いているでしょう。
損切り幅のpips数は、10pipsと言われることもありますが、これはトレード手法・通貨ペアによって変わってきます。下表をご覧ください。
通貨ペア/取引手法 | スキャルピング | デイトレード | スイングトレード |
ドル円 | 5pips~10pips | 10pips~80pips | 100~200pips |
ユーロ円 | 10pips | 10pips~100pips | 100~300pips |
ユーロドル | 10pips | 10pips~100pips | 100~300pips |
ポンド円 | 10pips~20pips | 10pips~200pips | 200~500pips |
ゴールド | 10pips~20pips | 10pips~200pips | 200~500pips |
例えばドル円やユーロ円など、比較的安定した値動きの通貨ペアでスキャルピングするなら、10pips程度が損切りラインの目安になります。
また、ポンド円やゴールドなど、値動きの激しい通貨ペアのスキャルピングでは、10pips程度では損切り貧乏になるリスクがあるので、20pips程度までを目安にするとよいでしょう。
直近高値・安値を突破したタイミング
3つ目の損切りルール・タイミングは、直近高値・安値を突破した時です。
- 買いポジション中:直近安値を下回った時
- 売りポジション中:直近高値を上回った時
FXでは、直近高値・安値はかなり目安にされています。
買いエントリー中に直近安値を下回ったら、一気に下落トレンドが始まる可能性もあるため、上昇を諦めて損切りするというイメージです。
「直近」の期間は、手法によって変わります。下表をご参考ください。
トレード手法 | 直近の範囲 |
スキャルピング | 1時間~5時間程度 |
デイトレード | 半日~1日 |
スイングトレード | 5日~1ヶ月程度 |
例えばスキャルピングなら、直近1時間~1日の範囲内での、最高値・最安値を目安にします。
高値・安値の突破は、トレンド転換を示唆することも多いので、損失を最小限にするためにも迷わず損切りしましょう。
インジケーターを目安にする
4つ目の損切りルール・タイミングは、インジケーター(テクニカル分析)のエントリー根拠が否定された時です。
エントリー根拠が否定されるタイミングとはどんな時か、移動平均線を例に見ておきましょう。
一般的に、移動平均線よりレートが上にあれば買い優勢、移動平均線よりレートが下にあれば売り優勢です。
例えば、移動平均線で反発し、上昇しかけたタイミングで買いエントリーした場合。
その後ロウソク足の確定足で移動平均線を下回った時に損切りします。
「移動平均線から見て上昇」という判断が否定されたタイミングということですね。
上画像のように、小さな損切りは発生しますが、損失は最小限。逆に、移動平均線通りに上昇を始めれば、一気にトレンドに乗ることも可能です。
FXで重要な「損小利大」を実現しやすくなるでしょう。
レジサポライン+10pipsを目安にする
5つ目の損切りルール・タイミングは、レジサポライン+10pips。
- レジスタンスライン:何度も跳ね返されている高値の抵抗線
- サポートライン:何度も跳ね返されている安値の支持線
ポイントは、レジサポラインに10pipsプラスした地点であること。
レジサポラインは、きっちりそこで反発するわけではなく、損切り勢を多少巻き込みながら、数pips超えることも多くあります。
そのため、10pipsの余裕を見て、レジサポライン突破から10pips地点に損切りラインを設定するというわけです。
レジサポライン+10pipsも突破されたら、大きなトレンドが発生している可能性が高いので、潔く損切りするのがよいでしょう。
キリ番+10pipsを目安にする
6つ目の損切りルール・タイミングは、キリ番+10pips。
キリ番とは、「148.00円」のようにキリのよいレートのこと。
FX相場で強く意識されるキリ番は、「00」と「50」です。
損切り方法としては、先ほどのレジサポラインと同様に、キリ番を突破されて10pips離れた地点で損切りします。
- 148.20円で買いエントリーなら、148.00円ではなく147.90円に損切り設定
- 148.40円で売りエントリーなら、148.50円ではなく148.60円に損切り設定
10pipsの余力を持たせることで、上画像のようにギリギリ損切りに掛からずに耐えて、その後プラスに転じるケースも出てくるでしょう。
経済指標発表前・週末前のタイミング
7つ目の損切りルール・タイミングは、経済指標発表前や週末前。
FX相場は、経済指標発表時に乱高化するリスクがあります。
注文が集中するため、最悪の場合は損切り設定していても機能せず、強制ロスカット(ゼロカット)されることもあるのでご注意ください。
たとえ含み損が出ていても、経済指標発表前には損切りしておくのがおすすめです。
- 米雇用統計
- 米消費者物価指数(CPI)
- 米国内総生産(GDP)
- FOMC(アメリカ金融政策)
- ユーロ圏失業率
- アメリカ・ユーロ圏の大統領選挙
- 日銀短観・日銀総裁の発言
また、週末(金曜深夜)には損切りしておいたほうがよいでしょう。
上画像のように、翌週になると、大きな窓開けが発生するリスクもあります。
週末に窓開けが発生するのは、三大市場は閉場していても、ドバイなどの中東市場では週末も取引されているためです。
損切り設定していても機能しないこともあるので、週末前には損切りすることをおすすめします。
FXの損切りに関する注意点
最後に、FXの損切りに関する注意点を5つ解説します。
- 損切りできないとFXでは勝てない
- FXに完璧な損切りルールは存在しない
- 逆指値注文しておけば自動で損切りできる
- FXの損切り目安は総資金の10%まで
- 損切り貧乏はルール・やり方に問題がある
特に、損切りできない初心者の方はぜひ参考にしてください。
損切りできないとFXでは勝てない
冒頭でも解説した通り、FXでは損切りできないと長期的には絶対に勝てません。
「損切りするから勝てない」「損切りするな」「損切りしない手法」というのは、あくまで目先の1つのトレードだけを指しての話。
FXは短期ではなく、長期的な利益を目指す投資です。損切りしない手法を使って、目先の1勝を獲りにいくことは避けなければなりません。
FXにおいてトータルで勝ちたい方は、必ず損切りをしましょう。
FXに完璧な損切りルールは存在しない
FXの損切りルールには、完璧を求めすぎないことも大事です。
FX取引では、完璧な手法がないのと同様に、完璧な損切りルールも存在しません。
トレンド相場・レンジ相場・値動きの激しい相場・全く動かない相場など、FX相場は様々です。
これら全てに対応できる損切りルールは存在しません。
FX相場は自力では操作できないもの。あまり完璧な損切りルールを求めすぎないようにしましょう。
逆指値注文しておけば自動で損切りできる
FXで損切りできない方は、エントリー時に逆指値注文(損切りの予約)を入れる方法がおすすめです。
FX相場を見ながら成行で損切りしようとしたら、感情が邪魔してメンタル的に損切りできないことも。
しかし、逆指値注文さえ設定しておけば、あとは放置するだけです。
値動きが気になって損切りできない方は、逆指値注文を設定した後、チャートを一切見ないという方法もアリでしょう。
FXの損切り目安は総資金の10%まで
繰り返しになりますが、FXの損切り目安(許容損失額)は、最大でも総資金の10%までです。
できれば、総資金の2〜3%程度に抑えるのがよいでしょう。
1回の損失が総資金の2%なら、50連敗までは耐えられる計算です。
損切り目安を総資金の10%にすると、耐えられるのは10連敗までになります。かなりリスクをとったFX取引であることは自覚しておきましょう。
ぜひ、ご自身のメンタルとも相談しながら、動揺しない程度の許容損失額を考えてみてください。
損切り貧乏はルール・やり方に問題がある
FXでは、損切りばかりを繰り返してジリ貧になる「損切り貧乏」な方もいます。
損切り貧乏になるのは、ルール・やり方に問題があるからです。
例えば、以下の2つのケースで考えてみましょう。
- 損切り2pips・利確100pips
- 損切り10pips・利確10pips
①のやり方では、いくら損小利大とは言え、損切り幅が小さすぎる&利確幅が大きすぎます。
これではほとんどのトレードで負けになるでしょう。
これが損切り貧乏の要因です。
②のやり方(スキャルピングを想定)なら、適度に勝ち負けが繰り返されるので、損切り貧乏になることは考えづらいでしょう。
もし②の「損切り10pips・利確10pips(損切り:利確=1:1)」で損切り貧乏になるなら、それはトレード手法が勝率50%未満になっているためです。
損切りルールというより、トレード手法のルール・取引のやり方自体を見直すのがよいでしょう。
初心者から始められるFX会社
損切りのやり方はわかったけど、「どこの証券会社を選んだらいいの?」という方もいらっしゃるかもしれません。
そこでFX初心者からできる証券会社を紹介します。
初心者から上級者まで人気の「DMMFX」
- 人気のFX会社で取引したい
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24時間LINEカスタマーサポートがあるのは珍しいです。
いつでも聞ける環境があるのはありがたいですね。
ぜひ有効活用していきましょう。
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松井証券は、初心者でも使いやすい取引プラットフォームと低コストな手数料を提供しているため、多くの投資家に支持されています。
少額の取引をする初心者の最初の口座におすすめです。
まとめ
FXでは、利確以上に損切りは重要です。今回解説した損切りルール・タイミング・やり方をぜひ参考にしてください。
どうしても損切りできない初心者の方には、10pipsといった損切り幅や、キリ番+10pipsなど、無裁量でできる損切りルールがおすすめです。
それでも損切りできない場合、取引ロット数が大きすぎることが要因として考えられます。メンタルが動揺しない程度のロット数で取引すれば、損切りできるようになるでしょう。
なお、損切りルール・タイミングを試す場としては、国内FXがあります。
GMO・DMMなどの国内FXは、ゼロカットシステムがないため、損切りが間に合わない場合の追証リスクはあります。
ただ、国内という安心感がよい方は、国内FXで損切りルール・タイミングを練習するのもよいでしょう。